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2009-10-24 00:00
やはり情報公開しかない、最後の決め手
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
民主党が政権を取ってからというもの、毎日新鮮な話題が新聞紙面に踊る。われわれは永い間、こんなことさえ知らないで、知らされないでいたんだ、という思いもある。その意味では、毎日の新聞1面が楽しみで仕方がない。こんなことはおそらくオリンピックの金メダル報道以来ではなかろうか。今日の紙面だけでも、保育所が1人当たり1.98平方メートル以下では設置が認められないとか、それに類した重箱の隅のような6項目が、これまでは中央官庁の許認可に委ねられ、地方独自の裁量が認められていなかった、という冗談のような話が飛び出している。
いまでも、地方に権限を委譲すると「施設の質の低下につながりかねない」という慎重論がある、というから、地方不信、中央無謬神話はどうしてどうして健在なようにお見受けした。こんなものはほんの九牛の一毛に過ぎないことは明らかで、全部洗い出したら、どんなにすっきりすることだろう。3桁の数なのか4桁なのか想像を絶するが、その根絶には、(余り筆者の趣味ではないが)、最も事情を知悉する内部告発者(whitsle blower)に門戸を開くのも速効性があるかもしれない。そうかと思うと、秘かに復活する「無駄事業」というのもある。
要するに、これまでに何らかの形で「不要事業」と指摘されているものを、お化粧直しをしたり、看板をかけ直したりして、予算案に潜り込ませていたという話だ。大幅な査定を予想して「のりしろ」、つまり見かけ上の削減余地を用意しておく為にやったというものから、「なあに、素人にバレっこないよ、やりましょう」みたいなものまで、内容は千差万別なようだが、お役人諸公、ならびにはやくもそれにもたれかかり始めた一部の民主党代議士は、国家財政の破綻状況が実感としては感じられていないのみならず、頭を下げて嵐を避けていれば、いつかはまた昔通りの素敵な(役人)社会が復活すると考えているかのごとくである。史上空前の規模にふくれあがった予算に大鉈を振るう為に、行政刷新会議、中でもその「事業仕分け」に期待が寄せられ、あたかも「あら不思議」の万能のお呪いのごとく報道されたりしている。鳩山首相に至っては「必殺仕掛人に期待する」と、テレビの見過ぎのような発言まで飛び出した。
「事業仕分け」については、これまでにも何度か触れたから再度繰り返さないが、優れた手法であることは間違いないにしても、過度の期待はしない方が良い。それよりも、このプロセスの特徴である公開制をどう生かすかに知恵が必要だろう。公開されたからといって、何日も何時間もかけて傍聴する国民が多いとも思わないし、丹念に取材して記事にするマスコミも果たしてどれほどあるか疑問である。ネットに過大な期待が集まっているが、視聴階層の分布状態をみれば、それは必ずしも一般国民に開かれているとはいい難いだろう。とすると、政府公報として民主党が斬新な手法で内容を公開する努力をする他はないように思う。民主主義とは、知らしめることであって、拠らしめることではない、というのはそういうことではないか。
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