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2009-10-15 00:00
じわり左傾化現実に:鳩山政権一か月
杉浦正章
政治評論家
政権発足後1か月、民主党政権の本質が徐々に露呈され始めた。目立つのは左傾化路線。外交・内政共に旧社会党系議員など党内左派の長年の主張がじわりと浸透してきている。加えて社会党左派を継承している社民党の主張が、インド洋の給油中止でそのまま通るなど露骨な展開も見られる。民主党の有力支持母体には左翼的体質がいまだに濃厚な自治労、日教組などがあり、その影響も次第に鮮明になってきそうな雰囲気だ。政府・与党首脳が自民党の旧田中派系だから大丈夫などという流れではない。
自民党が何を言ってもいまは引かれ者の小唄のようで耳を傾ける向きも少ないが、選挙前から自民党の町村信孝が「民主党は、本質は社会主義政党」と断定し、10月14日も総裁・谷垣禎一が「かなり社会主義的な政策体系で、大いに対決する必要がある」と批判の矛先を向けている。谷垣は「困っているところがあると補助を入れようという議論が非常に多い」とも述べ、子供手当、高校無償化などがその根拠であることを示した。たしかに党内左派や社民党が主張してきた問題が、次々に実現しているし、実現しようとしている。「給油中止」も「社民党の主張もあり」と外相・岡田克也が、背景を明らかにしたとおりである。「脱米入亜」と受け取れる首相・鳩山由紀夫の方針も党内左派のアジア外交重視路線と明らかに呼応したものであろう。社会党ばりばりの法相・千葉景子は、さっそく選択的夫婦別姓の通常国会実現に向け取り組んでいる。
日教組の主張を取り入れた悪名高き「ゆとり教育」は村山政権が打ち出して、いまだにその弊害が指摘されているが、鳩山政権も日教組を支持母体の一つとしており、その影響からは免れないだろう。選挙前は「日教組の政策要求をおおっぴらにすると批判が集中しかねないから、 政権を取るまでおとなしくしている」と公言をはばからなかった参院議員会長・輿石東を、小沢一郎は幹事長代行というナンバー2に据えている。そもそも民主党の事務局の要職は旧社会党員に牛耳られており、あらゆる文書がここを経由して出てくる仕組みである。
それでは旧田中派出身だからと言って政府・与党首脳の抑えが効くかというと簡単ではない。小沢の党内左派や支持労組への気の使い方は並大抵ではない。自民党では右寄りだったはずが、「給油は憲法違反」と左派路線そのままの発言をするくらいだ。要するに党内左派をつなぎ止めることが、寄り合い所帯をばらけさせない要だと思い込んでいるのだ。鳩山は、筆者が当初から予想しているとおり、ぶれにぶれはじめており、「官邸は息が詰まる」といまだに公邸住まいを避け、40分もかけて田園調布の自宅から通っている。内閣は閣僚が、首相に事前の相談もなく、羽田ハブ空港化といった重要政策を打ち上げ、統制は乱れている。鳩山は裸の王様になりつつあり、左傾化の是正などとてもできまい。かくして日本の政権は発足一か月にして、先進国でも珍しい時代遅れの社会主義の亡霊に取りつかれつつあるのが現状だろう。
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