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2009-10-10 00:00
(連載)吉田対鳩山の戦いのニュー・ラウンド(2)
若林 秀樹
元参議院議員(民主党)
その後を継いだ福田康夫氏は、小泉外交で傷ついた中国や韓国との関係を修復してアジア重視の姿勢を示し、一方で対米協調により米国との関係維持を保とうとした。これも「全方位外交」や「福田ドクトリン」に見られるように、協調的な国際環境の形成に努力した父の福田赳夫氏の外交理念に符号している。福田康夫氏は、安倍氏の路線を転換し、むしろ憲法改正論議等を封印し、「戦後レジーム」への回帰をもたらした。
そして当然のことながら、吉田路線に一番近かったのが孫の麻生太郎総理であり、正当な路線の継承者として、日米同盟の強化を外交政策の中心に据えた。しかし戦後60年の時空を超え、世界情勢の変化を踏まえた日本外交の将来については、説得力をもって語ることはできなかった。吉田路線の枠から一歩も踏み出すことなく、皮肉にも戦後一貫してその路線強化の役割を演じた自民党政治に幕を下ろした。
そして最後に鳩山由紀夫氏だが、やはり吉田茂氏のライバルであった祖父、鳩山一郎氏の影響を強く受けている。由紀夫氏もまた、自主外交を標榜し、アジア重視の姿勢を強く見せる。いやが上にも、吉田氏や祖父を意識しながら、その路線変更に戦いを挑むことになろう。歴史を振り返れば、性急な自立外交志向であった祖父や岸信介氏は、節目としての偉業は達成したものの、政治家として志半ばで挫折したことを忘れてはならない。
日本は、安倍氏が言うように、吉田路線により主権国家として失ったものも大きかった。しかし今日の繁栄をもたらした吉田路線の政治的遺産を単純に否定し、その路線の脱却が目的化してはならない。憲法9条の改正や日米安保の廃棄によって、主権国家としての矛盾が解消してスッキリするかもしれないが、それで日本の国益を長期に亘って確保できるかは別問題である。むしろ当面の間は、この矛盾や自立性の制約をかかえながらも、国際主義の発想に立った新たな戦略の構築が必要ではなかろうか。吉田路線への挑戦の道は続く。(おわり)
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