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2009-10-02 00:00
公約の「後ずさり」が始まった:鳩山政権
杉浦正章
政治評論家
国民が「マニフェストを実行できるかどうか」かたずをのんで見守っている中で、民主党政権の「後ずさり」が始まった。「あれもやる、これもやる」と、おいしいばらまき公約を並べてはみたものの、現実政治に直面して、方向転換せざるを得なくなってきているのだ。振り上げた拳をどこにおろすかで、すべてが分かるが、あきらかに“ごまかし”や、“先送り”、“あいまい化”と受け取れるものも目立ち始めた。当初から欺瞞(ぎまん)性を指摘されてきたが、それが現実のものとなってきたのだ。
まず驚いたのは、マニフェストの目玉である天下り禁止の抜け穴だ。国家公務員の天下り人事凍結の対象である独立行政法人・特殊法人26法人の役員42人を12月末までに公募し、外部有識者の選考委員会などで改めて人選を行うというのだ。公募して外部の有識者などで構成する選考委員会で選ぶとあるが、「外部の有識者」なるものほど信用のおけないものはない。各省が自分の意に添わない有識者を選ぶことはあり得ないからだ。新聞は、朝日も読売も一応見出しは「天下り根絶へ一歩」としているが、記事の内容は猜疑心でいっぱい。朝日は「抜け道も多く、野党時代に訴えた天下り根絶にはほど遠い」と書いているが、「ほど遠い」のに「根絶へ一歩」の見出しとは、大矛盾だ。読売も「公募が天下りにお墨付きを与える結果となる可能性もある」と批判している。
つぎに驚いたのは、財源は節約で見つけると大見得を切った路線のあいまい化だ。まず手始めとなった補正予算の見直しで、3兆はひねり出すとしてきたが、「とてもとても無理」と言うことが分かったようだ。問題なのは「不可能」と分かると、閣議で「公表の先送り」を決定したことだ。情報公開を立党の原点としてきた政党の政権が、「できぬ」とみると覆い隠す。まるでどこかの共産主義国家のようだ。「子供手当」などの財源となるはずの7兆1千億の財源も、節約ではまず不可能である事が証明されつつある。したがって、その「子供手当」創設法案も26日召集見通しの臨時国会へ出さず、来年1月召集の通常国会へ先送りする方針を固めたようだ。先送りしても税収の衝撃的な落ち込みが予想される中で、どう財源を見いだすのか。八ッ場ダム建設中止を打ち出した国交相・前原誠司が、反発の強さに驚いて「住民の同意がなければ、法的手続きには入らない」と棚上げを明言したが、こんどは本体工事の入札は中止する意向だという。前の発言は食言であったことになり、政権の揺れに、地元の反発は治まるまい。
外交・安保でも、米側の要望が次第に鮮明になってきており、「反米」「脱米」路線ではとても無理と悟り始めたようだ。インド洋での給油についても、外相・岡田克也は従来の「単純に延長はしない」から踏み込んで「継続を絶対ノーとは言っていない」と、明らかに軌道修正し始めた。防衛政務官・長島昭久が国会事前承認を条件に、給油を継続すべきだとの考えを表明したのも、落としどころとしては考えられる線だ。しかし防衛相・北沢俊美は「給油中止」で凝り固まっており、社民党の主張もあり、政権を揺さぶる火だねとなっている。総じて対応が正々堂々と路線転換を表明するのではなく、小出しにして様子を見る傾向が強いのが分かる。まさに「できるか、どうか」が焦点の問題で、あいまい化は許されない。出来ないなら「出来ない」と帽子を脱げばよいかというと、鳩山は選挙中「公約が実現出来なければ責任をとる」と明言している。26日招集見通しの臨時国会の論戦を手始めに、民主党政権の負の部分がひときわ鮮明化してゆくだろう。
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