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2009-09-19 00:00
鳩山内閣の政策を策定するのは、だれか?
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
一連の鳩山政権成立過程の報道を見聞するにつけ、日本国民が政権交代の道を選んだのは極めて正しい選択だった、と思われてならない。しかし、政治というのは結果が全て。出来上がってなんぼ、という世界であるのも事実だ。だから、発足時のこの好意的評価が4年後にどのように変化しているか、あるいは加速しているか、それは神のみぞ知る世界であることに疑いはない。が、あえて不遜に神に代わって予測のようなものを試みれば、次のようなことになるのではないか。第一は、この政権の掲げる官僚主導から政治主導への転換だ。醜い政官の癒着については、さすがに情報量は豊富だが、それを是正するというのは、ことの一面に過ぎない。秀吉ではないが、兵糧攻めにして敵が降伏するのを待つ、というやり方も決して侮れない手法ではある。
しかし、国家政策の策定を行う能力がだれにあるか。もっといえば「われわれ以外に、それはできない、出来っこない」というプライド(それが事実であるかどうかは、ここでは問うまい)を拠り所にしている知的集団を、いかにして使いこなすか。それも統治能力の一部であることには疑いない。霞ヶ関の論理、ルールに従ってゲームが始まったのでは、勝敗は戦う前に決まっている。民主党が単なる仕掛け、仕組みの提示(これはある意味でハード面に過ぎない)以上に、どのようなルール(ソフト面)を提示できるかに、力量が問われよう。情報の不透明性、秘匿性を明らかにすることによって、かなりの部分は既存ルールの改変につながるだろう。しかし、本当に悪辣な官僚ルールというものがあるとすれば、それは「現状維持が最良のオプションだ」と人に思わせる論理構成にある。
これにはまってしまったら、ほとんど勝ち目はないことを、民主党は肝に銘ずるべきだろう。つまり、全ての与件を疑ってかかることだ。「それは、憲法、あるいは現行法のタテマエをも疑うことか」と賢明な(あるいは悪辣な)官僚は質問をすり替えるだろう。これにはまるかどうか、が第一のリトマス試験紙になる。第二には、お取り巻きの選び方だ。これまでの学識経験者、知識人などによって構成される数多くの審議会、諮問委員会の例を見れば明らかなように、第三者をして己の意見を語らしめることに精通している官僚は多い。というより、それができなければ一流の官僚ではない。それに、利害共通する御用学者がすり寄ることによって、官僚王国は盤石のものとなってきた。いうまでもなく、御用学者にも質の良いのから悪いのまで、さまざまだ。為政者が御用学者を見つけることが簡単なのは、ビスマルク以来、何の変化もない。
何よりも怖いのは「重要政策課題は何であるか」が決まってから有識者が群れるのではなく、彼(女)たちが課題を決めるかのごとき外見を保つことだ。この瞬間再び「勝負あった」ということになるのであって、民主党がどのような人々をブレーンとして周りに配置するか(その配置が出来ないようでは、これまた「勝負あった」ということになる)が問われる。我妻さんさえいれば年金問題が解決する訳ではない。それがまたひと勝負だろう。これ以外にもいくつかの決定的なエレメントはある。しかし、とりあえず民主党がこの2つに成功することを、日本の将来の為に祈りたい。
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