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2009-09-16 00:00
(連載)米国の対ミャンマー政策は変化へ向かう(2)
田島 高志
元駐ミャンマー、カナダ大使
ウェッブ米上院議員の言葉はつづく。「米国が制裁を解除するとしても、それは米国の経済的利益のためとか、米国が軍事政権を民主政治に向かわせるよう長年採ってきた政策が負けて、降伏したものだ、と受け取られてはならない。他方、このまま腕組みをしながら自慢して、ミャンマーを助けるために何かやっているのだ、と装うのも間違いである。では何をすべきか。第1に、来年の選挙にはNLD(国民民主連盟)も長期的政治戦略的観点から参加するよう促し、米国も選挙の実施に援助を与えることだ。第2に、米国は非民主的国家に対する政策に明確な基準を設けるべきだ。これまでの政策は、相手国により異なる情況次第というものであった」。
「中国に対して、米国は20年以上も対話を拒否し、外交関係もなかった。中国は総選挙を行ったこともない。しかし、いまや米中両国は経済的にも戦略的にも固く結びついている。ベトナムに対して、米国は選挙への監視団派遣の提案もせずに、関係を進めた。ベトナムの開放化を実現させた最大の要因は、1994年の米国の対越貿易解禁であった。第3に、米国は中国に対して、ミャンマー情勢への沈黙を止め、世界の大国になる国の役割として責任ある行動をとるよう求めるべきだ。それは、軍事政権に決まりきった非難を繰り返すよりも、はるかに幅広い世界の支持を得ることが出来よう」。
「第4に、米国の制裁緩和は、慎重に、しかし直ちに開始し、もしそれに対してミャンマー側から前向きの反応があれば、さらに前進するために、人道援助を初めいくつかのことができる。第二次大戦中のミャンマー北部米機墜落現場での米兵遺体捜索に協力を求めることもできるかも知れない。われわれの究極の目的は、ミャンマーが世界の責任あるメンバーとなるよう激励し、国民の孤立を終らせ、開かれた政治体制の下で経済的に繁栄した生活を送ることができるようにすることだ」。
このようなウエッブ上院議員の提言が、米国政府により直ちに具体化されるかは、さらに注目の要があるが、過去の例に見るように、米国の政策転換は情況によっては非常に速い。ミャンマー側も米国の動きを注目しているであろう。日本政府は、この機会に日本側の見解を米国に対し明確に伝え、ミャンマー側にもこれまで以上の働きかけを行い、米国と協力しつつ、ミャンマー開放化政策をさらに前進させるべきであろう。ミャンマーの民主化は、一歩一歩進める以外に道はなく、制裁は国民を苦しめ、民主化を遅らせているだけなのである。(おわり)
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