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2009-09-01 00:00
中国国防部のウェブサイト開設と透明性欠如
茂田 宏
元在イスラエル大使
8月20日、中国国防部は公式ウェブサイトを開設した。同日付ワシントン・ポスト紙は、「中国の秘密主義的な軍、ウェブサイトを始める」との記事を掲載している。英語での情報提供も行っている。中国国防部は「試験的に」始めた、「外部世界が中国の国防政策についてよりよい認識をもつように作られている」と説明している。中国の軍事力について透明性が欠如しているとの批判に対する中国の対応であると思われる。
この公式ウェブサイトのアドレスは、www.mod.gov.cnである。中国軍指導部、軍、防衛政策、軍事交流、軍事演習、平和維持の各項目の解説が掲載されているほか、国防部、防衛ニュース、プレス・ブリーフィング、論説、国際軍事、写真(武器の写真もある)、ビデオの各項目をクリックすると、関連記事が出てくる形になっている。また特別報告というなかで、白書、中国の関連法令、軍に関連した数字、防衛支出、防衛技術などの項目について関連報告が出てくる形になっている。
私は最近、友人と一緒に「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力 2009年版」を翻訳・出版した。現在、アマゾン、新宿紀伊国屋書店、外務省三省堂書店、防衛省三陽堂書店などで販売中である。中国の国防についての中国国防部のサイトで公開されているものと、このペンタゴン報告書を比較すると、中国がどの程度透明であるかがわかる。たとえば中国の軍事支出については、外国よりの武器購入費が計上されていないし、研究開発費も計上されていないとの問題がある。このウェブサイトも、中国がこれまで公表してきた軍事支出以上の情報は掲載していない。
中国側は以前内々に、筋骨隆々たる軍であれば透明にして見せればいいが、やせ細った軍を、透明性を高め、見せるわけにはいかないと言ったことがある。こういうウェブサイトを作り、武器も見せるということは、中国軍が自信をつけてきた証左でもあろう。このウエブ・サイトをベースに種々の疑問を提起し、中国側に軍事面での透明性を求めていくことが、今後少しは容易になるであろう。ただし私は、中国軍の増強の問題は、透明性の問題よりも、その増強が東アジアの軍事バランスを変えてきていると言う実質的な面で問題があると考えている。
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