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2009-08-20 00:00
(連載)駐イラク米軍の撤退時期をめぐる動き (2)
茂田 宏
元在イスラエル大使
第2に、イラク駐留米軍司令官オディエルノ将軍は8月17日に、アラブ・クルド間の対立が起こりうる線に米軍を展開する必要を強調した。オディエルノ司令官は、マリキ首相、クルド自治政府首班のバルザニと話し合ったとした上で、ニネベ地方に米軍を展開し、イラク治安部隊とクルド自治政府の民兵組織ペシュマガの双方とパートナーを組み、情勢の安定化を図る必要があると指摘した。
キルクーク、ニネベ地方、ディヤラ地方には、2003年のサダム・フセイン政権とイラク軍の崩壊の後、クルド人の民兵組織ペシュマガが入り、事実上の支配を確立したのに対し、アラブ側が自分の主張を打ち出し、イラク治安部隊を周辺地域に展開してきている。これが北部イラクの安定に大きな問題を作り出している。オディエルノ司令官はアラブ・クルド間の話し合いが出来るまでの駐留であるとしているが、米軍がいると米軍頼りになり、アラブ・クルド間の話し合いがつかなくなり、米軍駐留の長期化につながりかねないとの懸念を指摘する声が、米・イラク双方に出てきている。
このイラク北部での情勢の緊迫化は、アルカイダを中心とするテロリストが利用しうるものになっている、とオディエルノ司令官は指摘しており、確かに北部イラクでのテロ事件は増加している。しかし、オディエルノの計画が実施に至るか否か、まだわからない。
イラクのマリキ政権は、米軍のイラクでの活動に制約を課し、その撤退を促進すること、それを成果として1月の選挙で勝利したいと考えている。その意味で、米軍撤退が早まる方向への力学がある。また米側でも、今や最大の関心はアフガニスタンにあり、イラクからの早期撤退を止める力学はあまりない。これらが相互作用を起こし、脆弱な治安状況の中で米軍が撤退することになる危険が出てきていると思われる。治安の悪化は北部イラクのみならず、他の地域でも見られる。(おわり)
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