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2009-08-18 00:00
今次総選挙の争点としての核密約問題
若林 秀樹
元参議院議員(民主党)
いわゆる「核密約」の問題に関し、8月15日付け『朝日新聞』に掲載された東郷元外務省条約局長の寄稿文は、極めて本質を突いた指摘であった。とかくこれまでの議論は、「密約」があったのかどうか、あるいは国会答弁と「密約」の存在との食い違いそのものに焦点が置かれており、一体全体、「核密約問題」は何のための議論であるのか、画龍点睛を欠いたものだった。
東郷氏は、「密約文書」の存在そのものについては触れなかったが、様々な関連資料の存在は認めた。それらの資料は先人達が「核抑止力」を保つための知恵の凝縮であり、今はそこから学び、未来を投影し、新たな政策を作りあげるべきだと指摘した。もし外務省が関連文書を破棄したとすれば、それは極めて遺憾なことであり、文書を再度復旧すべきとの意見だ。何故ならば、どんな理由があったにせよ、歴史に根ざさない外交に未来はないからだ。
東郷氏が指摘したこの問題の本質は、当時から被爆国の日本では核に対する抵抗が国民感情として強く、一方で米国の核の抑止力の恩恵に預かるには、お互いの国の事情に配慮しつつ、核持ち込みの「あいまいさ」を保つことが必要であったという点である。この「あいまいさ」により、冷戦時代を通じてソ連の脅威から日本の安全を確保し、日本は経済活動に邁進して今日の繁栄を築き上げることができたという指摘は、結果論としても真正面から否定はできない。
「非核三原則をないがしろにし、国民に嘘をついてきた」という野党の主張は理解できるが、過去の出来事にせよ、では野党としてどう対処すべきだったのかという対案なくして、議論は深まらない。しかし国際情勢の変化を見据えつつ、過去の事実を客観的に検証し、今後のあり方について大いに議論をすることは必要だ。麻生自民党では、「密約の存在」を認め、そこを新たな議論の出発点にすることはできないであろう。やはり政策を大きく転換するには政権交代が必要だ。今回の総選挙の議論では、各党とも「非核三原則の堅持」を掲げているが、建前先行で我が国の安全保障がないがしろになっても困る。過去の事実をしっかりと検証し、国民と共に新しい「非核政策」について議論を深めるべきだ。これも今日公示された30日投開票の第45回総選挙の争点の一つである。
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