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2009-08-06 00:00
(連載)米国のアジア関与政策の新展開(2)
大河原 良雄
グローバル・フォーラム代表世話人
アジアにおいては、これまでASEAN+3(日・中・韓)と東アジア・サミット(ASEAN+3+3(印・豪・ニュージーランド))とが相並んで地域的枠組みとしての機能を果たしつつ、今後一層の発展を目指した活動を進めている。中国は両組織結成の経緯からみて、どちらかといえばASEAN+3により傾斜しているやにみられる。この様なアジアの動きの中で米国はこれまで特段の反応を示さないままで推移してきた。嘗て1990年代初めにマレーシアのマハテイール首相が提唱した東アジア経済評議会(EAEC)構想にベーカー米国務長官が猛然と反対して、EAECを押し潰した事態に比して、著しく対照的である。
その米国がTACに加入し、TPPにも参加交渉の意向を表明していることは、新政権の下でアジアへの積極的な関与政策に転じたものといえ、注目に価する。これに関連し、中国の人民日報(8月3日付)がクリントン国務長官の東南アジア友好協力条約への署名とメコン川流域開発計画の提案をとり上げ、「この二つの動きは、米国が東アジア統合に対する姿勢を消極的傍観から積極的な介入へ、二国間主義から地域協力枠組みへの加入へ、と転換したことを示している」と論じているのは、興味深い。
この様な米国の積極的なアジア政策の展開姿勢との関連で最も注目を要するのは、そのAPEC政策の今後の動向である。APEC首脳会議は本年11月にシンガポールで開催され、明年11月には日本が主催国となって横浜で開催される。次いで2011年には米国で、2012年にはロシアのウラジオストックでの開催が予定されている。地理的にはアジアからは遠く、アジアの地域協力や経済統合の動きに対処するための政策決定に慎重を期してきたとみられる米国にとって、既存の地域経済協力の枠組みとしてそれなりの実績を積み重ねて来たAPECの意義を再確認し、これの再活性化をはかることによって、APECがこの地域への積極的な関与を確保する仕組みとして重要な役割を果たすことを期しているものと考えられる。
本年のシンガポール、明年の日本、そして明後年の米国と続くAPEC首脳会議は、1993年にクリントン大統領によって創設されて今日に及ぶ。そうした経緯を背景として、米国は新しいアジア情勢に対応すべく、APEC強化策を打ち出して来るものとみるべきである。日本としては、2010年は貿易の自由化を目指すボゴール宣言の採択より15年目の節目に当たり、主催国としては先進国によるボゴール目標達成を確保するとともに、この地域の進むべき新しいビジョンを打ち出す契機とすべく準備が進められていると承知するが、米国とも十分な連携を保って、東アジアのコミュニテイ形成の動きと米国のアジアへの関与を機能的に融合せしめる方途を求めていくべき好機を活かすべきである。(おわり)
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