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2009-08-05 00:00
(連載)米国のアジア関与政策の新展開(1)
大河原 良雄
グローバル・フォーラム代表世話人
オバマ政権下の米国が静かに新しくアジア関与政策を進めているのをしっかり注視したい。タイのプーケットで開催されたASEANとの閣僚会議に出席したクリントン米国務長官は、7月22日ASEAN10ケ国の外務大臣との間で友好協力条約(TAC)加入の署名を行った。TACは1976年2月にASEAN原加盟の5ケ国間で署名され、これまでにASEAN外からは日本及び中国を含む15ケ国が加入している。
クリントン長官は「恒久平和、長期的友好及び協力の推進によって、加盟国の力強さ、連帯及び緊密な関係に寄与している」と同条約の意義をたたえ、「友好の絆によって結ばれたASEAN、米国間で平和で進歩的且つ豊かな将来を希求していくと共に、地域及び世界の発展に寄与したい」と謳い上げた。これを受けて、スリン・ピッワンASEAN事務総長は「TACは紛争の平和的解決、武力不行使及び内政不干渉の基本原則にコミットしている」が、「米国の加入はオバマ新政権のASEAN政策の変更を具体的に示すものである」として、歓迎の声明を発表した。
TACへの加入は、これまでASEANとの緊密な外交関係推進をはかる為の入門許可証の如き意味を持つとされ、米国は長らくこれへの加入に否定的態度をとってきた事を考えると、大きな政策変更に踏み切ったものと言える。我が国も長年TAC加入か否かにつき慎重な姿勢をとってきたが、ASEANとのEPA交渉促進を契機に、且つ中国のTAC加入に刺激される形で、TAC加入に踏み切った経緯がある。米国は、TAC加入に加えて、近くジャカルタのASEAN事務局代表部を格上げし、常駐大使を任命する旨発表した。その積極的なASEAN政策の推進の意味するところを、十分検討すべきである。
アジア太平洋地域には、この外ニュージーランドの発案になるTrans Pacific Partnership Agreement (TPP) がニュージーランド、シンガポール、ブルネイ及びチリの4カ国によって2004年に発足し、既に豪州、ベトナム及びペルーが参加の意向を示している。米国も昨年8月に参加の為の交渉開始の意向を表明したが、当面新政権の下で全般的な通商政策の見直しが行われているとのことである。関係国の間ではTPPが将来アジア太平洋地域における地域経済統合の軸となる可能性があるとの見方もあるといわれている。(つづく)
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