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2009-07-14 00:00
(連載)我が国の核政策の矛盾を正す(1)
若林 秀樹
元参議院議員(民主党)
今、核軍縮・核不拡散に関する国際社会の取り組みは、大きな転換期を迎えようとしている。まず「核廃絶」を目指すオバマ大統領の訴えに呼応し、過日開催された主要国首脳会議(G8)では「核兵器のない世界に向けた状況をつくることを約束する」という声明が出された。またオバマ大統領は来年3月にワシントンで「核安全保障サミット」を開催することを表明した。
そんな最中、唯一の被爆国である日本にも大きな変化の兆しが表れている。まず朗報であるが、「核の番人」と言われる国際原子力機関(IAEA)の事務局長として、外務省出身の天野之弥氏が選ばれた。これは日本の非核化政策の取組みが評価されたことが最大の要因であると思われる。しかし一方、国内では、核の持込をめぐる核兵器密約文書の存在が問題となっている。これは逆に、我が国の安全保障と核抑止力に対する国民の捉え方をゆがめてきたツケであると言えよう。戦後60年の功罪が時期を同じくして噴き出した感があるが、歴史の偶然であるとしても、国際社会の情勢の変化を踏まえ、日本の核政策の根本にある矛盾を正し、改めて核に対する日本の姿勢を明確にすべきである。
その際に議論のスタートとして、まず我が国が核軍縮・核不拡散に取り組むことと、核の抑止力に依存することは必ずしも矛盾することではないという点を明確にすべきである。我が国の安全保障を考える上で、日米安保に基づく米国の防衛義務には、現に通常兵器のみならず核兵器による抑止力が含まれ、それが効果的に働いているのは事実である。中国の軍事力がじわじわ増大する中で、北朝鮮がこれだけの挑発を行っても日本がパニックにならないのは、仮に北朝鮮が日本を攻撃しても、日米安保に基づく米軍の北朝鮮への核を含めた報復攻撃が期待できるからである。
しかし一方で、核兵器を持とうする国が増え、テロ軍団への核拡散も含め、世界における核攻撃の脅威はむしろ増大している現実を踏まえれば、国際社会の一員として、核攻撃の可能性を除去するための必要な取組みを行うことは当然である。とりわけ核兵器を保有できる力を持ちながら、原子力の平和利用に徹し、非核政策を推し進める日本のリーダーシップの発揮が求められているのである。(つづく)
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