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2009-06-19 00:00
解散までに、政官癒着構造打破の具体策を
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
お読みになった方も多いと思うが、6月14日の『朝日新聞』朝刊「オピニオン耕論」は「日本の官僚に未来はあるか」と題して飯島勲、長妻昭、保坂正康3氏のコメントを掲載した。このうち、飯島、長妻両氏の議論は、現在の二分する世論傾向を典型的に表現しているように思う。保坂氏のそれは、いわば是々非々で、さして情報の量は多くないようにお見受けした。
長妻氏の議論は、民主党の主張そのもので「官僚と族議員の馴れ合い、あるいは相互不可侵条約をぶっこわさないかぎり、本来政治家がやるべき仕事を官僚がやっている今の日本の姿は変わらない。それには自民党ではだめで、民主党が政権を取る他はない」という例のスローガンである。これに対し飯島氏は「公務員の組織や人事でいじめる『役人いじめ』をしても、時の政権の言う事を聞く官僚だけを幹部にすえようというのであれば、情実人事がまかり通る『超発展途上国』になるだけの話で、役人を使いこなせる政治家こそが必要だ」という。公務員の待遇改善への言及もある。端的に言ってしまえば、「民主党の言っていることはごもっともだが、この党にそれだけの力量ありや」という話と、「今の自民党のていたらくは、小泉後の歴代総理が統治能力を失ったことに諸悪の根源がある」という話だ。小泉政権下の豪腕秘書として鳴らした飯島氏の言い分にも説得性があるし、長妻氏の議論も国民の鬱屈した不満を代弁していることは事実だ。
「あの人がやってくれれば」という具体的な提案はない。もちろんそんなものがお手軽に存在すべくもない(あるいはあったにしても、飯島氏が口にするとも思えないし、長妻氏はもちろん鳩山さんだが、これがどれほどのものか、知る人は本人を含め誰もいない)のだが、そうすると、多少危なっかしいかもしれないが「民主党にやらせてみるか」、自民党の自浄能力に期待して「政権党に座り続けさせるか」という選択しかない、と言っているに等しい。
誠に不毛の選択としか言いようがないのだが、いま一つは、どちらも過半数をとれなくて、どこかと連合を組む(もっともありそうなシナリオであるし、口を開けて待っている相手まで見えてきそうな気がする)ことになったら一体どうなるか、ということだろう。だとすればこの何ヶ月かの間に必要なのは精神論や官僚たたきではなく、いうところの政官(それに財)癒着構造なるものを打破する手始めの具体策ではないか。
その最たるものが、外郭団体整理、前例踏襲予算見直しによる冗費削減の具体的提言である。これには、今回補正を含む全予算の事業棚卸しが肝要になる。場合によっては、事業官庁を全廃するくらいの意気込みがあっても良いのではないか。対立点は両論併記して、各党共同で臨めば、2ヶ月でかなりのことはできる。現にいくつかの省庁については、既に行われているところもある。出来なかったところは、今後の継続と目標期間について各党が合意すれば良い。目安箱ならぬ whistle blower (表現は陰惨だが内部告発)も欠かせまい。役所施策にラバースタンプを押しているだけのナントカ委員会、審議会のたぐいを全員入れ替えたらもっと仕事は速くなる。これくらいのことが出来ないようでは、所詮空念仏をまた聞かされたに過ぎない、というものではないか。世界最大の赤字比率を誇る国としては、この程度の意気込みは当然のことだと思うのだが。
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