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2009-06-16 00:00
(連載)アジア太平洋三極主義外交の推進(2)
大河原 良雄
グローバル・フォーラム代表世話人
日・米・韓三国間の政策協議は北朝鮮の核開発問題を繞って最近特に緊密の度を加え、北朝鮮の出席拒否によって六者協議が停滞したままの深刻な情勢が続く折柄、三国間の連携の強化は北東アジアの安定をはかる上に重要な役割を果たしている。日韓関係は李政権の登場以来新しい局面を迎えているが、三国間の高いレベルでの協議の場が定期的に持たれるように発展することが望まれる。5月末、シンガポールで開催されたIISSのシャングリラ対話の機会に、日米韓三国の防衛大臣、国防長官間の会合が開かれた事は、この意味において意義の深いことであり、今後定例化することが期待される。
次に指摘すべきは、日米豪三国間の安全保障問題に関する定期的協議である。豪州のハワード政権時代に開始された日米豪間の次官級レベルの協議は日米、米豪といった二国間同盟関係を基礎として、新しい同盟関係の側面を固めるといった意義を持つものであった。その後、豪州でRudd政権が誕生し、所謂「親中政策」を進めると見なされていた為、若干豪州の対アジア姿勢に変化がみられるかとの推測を生じていた。しかし、最近中国の資源収奪的攻勢に対する警戒の深まりにより、Rudd首相の対中政策に変化がみられるとの報道があり、それが事実であれば、日米豪間の協議もハワード政権当時と同様な位置づけになるものと思われる。
アジアの平安と安定の上に最も重要な意義を有するものは、日米中三国間の緊密な対話と連携である。日米間は日米安保条約によって同盟関係として固く結ばれているが、日中関係は安倍内閣以来「戦略的互恵関係」として謳いあげられている。他方米中関係について、米国は中国を「責任あるステークホルダー」と位置づけている。その様に三者三様にそれぞれの間で二国間対話を深める努力を行ってきた。今後のアジア情勢、更には広く国際情勢を考える際に、この三国間の対話、協力の意義は何程強調しても強調し過ぎることはないであろう。環境、エネルギー、国際金融といった分野での協力を深めるとともに、逐次他の分野にも拡げていくことが望ましく、実務家レベルの対話より始め、逐次高いレベルに格上げしていくことが実際的であろう。
アジアでの地域協力に逐次積極的な対応を示してきた中国と、アジアにおいて政治、経済、文化等あらゆる分野にわたって圧倒的な存在を保持してきた米国との関係を、三国間協議というつながりで結ぶことの重要性は言を俟たない。その地域の地域協力の強化と相並んで、上述の三極間協力の推進について積極的な対応が求められる。(おわり)
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