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2009-05-20 00:00
(連載)「世襲制は改革阻害の最大要因」に同感(1)
水野 勝康
特定社会保険労務士
5月10日付け本欄に若林秀樹元参議院議員から「世襲制は改革阻害の最大要因」と題する投稿がなされた。私は、基本的にこの意見に賛成であるので、その立場から若干の補足意見を申し上げたい。日本の政治で世襲が問題になっている大きな要因は、そもそも「政党内部」に民主的な手続が確立されているとは言い難いところにあるように思われる。確かに我が国は民主主義を標榜し、三権分立が憲法で規定され、国家統治機構の制度は民主的に設計されている。しかしながら、統治機構が民主的に設計されていたとしても、その重要な担い手である政党の内部秩序が民主的なものでなければ、統治機構が結局は民主的なものとはいえなくなるであろう。この点、我が国の政党の内部秩序は民主的なものと言えるであろうか。
少なくとも、自由民主党の総裁選挙や、民主党の代表選挙などは、所属国会議員が規定の数の国会議員の推薦を集めれば立候補することができる。投票は党員や党友(民主党では「サポーター」と称する)が参加する形で行われることもあれば、国会議員だけで行われることもある。先の民主党代表選挙は国会議員のみで行われた。このことについて、今回の民主党代表選挙にしても、党員サポーターが事実上無視されることなり、公党として問題があるという指摘があった。確かにその通りであろうが、民意代表たる国会議員が党員を代表して票を投じているとも取れ、少なくとも手続き上は一定の合理性を認めることはできる。だが、候補者選定となるとは話は別である。少なくとも二大政党たる自由民主党と民主党について見ると、明確で合理的で民主的な手続が確立されているとは言い難い。両党とも、政党内部で民主的に候補者を選定するシステムが確立していない。ここに、世襲制が蔓延する余地が出てくる。
そもそも、我が国の政党は党内の民主制について、深く考えているとは思えない。日本の政党は基本的に「議員政党」であり、党内で発言権を持つためには国会議員であることが大前提となっている。党員や党友の権利は極めて限定されたもので、数年に一度あるかないかの総裁選挙や代表選挙で、国会議員の数千分の一、あるいは数万分の一の価値の票を投じることができる程度である。日本の政党の党員になるということは、少なくとも自由民主党と民主党の二大政党においては、アメリカのように予備選挙で候補者選定に参加できるわけではなく、ましてや公認候補になる道でもない。事実上「金を出すだけ」の存在になってしまっている。
ドイツ連邦共和国の基本法(憲法に相当する)では、「政党の内部秩序は、民主的原則に適合しなければならない」として、党内民主主義が規定されている。これは政党を放任しておくと、かつてのナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)のような横暴なことをやりかないので、政党に一定の民主的統制を課したものであろう。ドイツの制度から見ると、日本は「放任主義」で、「政党政治」が憲法の前提でありながら、政党に対する国家の態度については、一時代前の考え方に留まっていると言える。(つづく)
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