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2009-05-20 00:00
互角だが、麻生若干リードの党首討論
杉浦正章
政治評論家
5月27日に首相・麻生太郎対民主党代表・鳩山由紀夫の党首討論が設定され、総選挙に向けての「自民対民主デスマッチ」の幕開けとなる。麻生は民主党の「弱点3点セット」である「小沢・財源・安保」にしぼって鳩山新体制の急所をつくだろう。鳩山は民主党のお家芸である内政問題に論戦を引き込もうとするだろう。「漫画の殿堂」など2009年度補正予算案の「無駄」や、官僚主導政治の実態を中心に追及する考えだ。勝負は6対4で若干麻生の方が説得力があるだろう。麻生がつきたいのはなんと言っても、鳩山が代表選挙で小沢一郎の復権を実現させ、問題の説明責任を民主党ぐるみで回避していることだろう。18日も「小沢さんとの金の話っていうのが、一番国民としては聞きたいところ」と述べて、取り上げる構えを見せている。
これに対して鳩山は、小沢提唱の企業献金全面禁止で切り返そうとするかも知れないが、いささか説得力に欠ける。麻生は直接的な表現でネガティブ・キャンペーンと受け取られる批判はしないだろうが、「小沢院政」「小沢傀儡」を浮き上がらせる対応だろう。マスコミの論調とも合致しており、鳩山が不利だ。「噴飯もの」と財務・金融・経済財政相・与謝野馨が指摘する民主党の財源論は、最大の弱点だ。自民党だけでなく、公明党も将来の福祉目的消費税導入論で総選挙を乗り切る方向を強めている。これに対し鳩山は、「消費税は4年間は議論しない」と決めつけ、財源は「無駄の排除を中心に21兆円を確保する」と反論する。これは明らかに根拠薄弱で、鳩山が負けるだろう。
更に麻生は、民主党の安全保障問題について欠陥をつくだろう。麻生は「日本の防衛は、少なくとも第7艦隊だけいれば十分、と言っておられた方が代表代行におられます」と、小沢の大失言を取り上げる構えだ。一方鳩山は、同党がこれまで点数を稼いできた官僚主導の政治からの脱却を基本に据え、数々の不祥事も踏まえて、自民党政権の“末期症状”を追及しよう。無駄の排除で21兆円捻出(ねんしゅつ)できると鳩山は信じ込んでおり、撤回はしないだろう。補正予算についても建設費117億円が計上されたアニメ美術館について、「アニメが好きなのは麻生太郎首相だ。首相が好きだから、官僚が作ってやろうということになった。簡単に言えば国立の漫画喫茶だ。大変な浪費で、ばかばかしい」と批判している。これを持ち出すに違いない。
独立行政法人や公益法人の弊害や無駄を訴えてきた民主党の主張にも沿ったものだからだ。しかし、鳩山は日本のアニメに対する国際評価が高く、中国なども日本に追いつくべくこの分野に力を入れている事などへの理解が欠けている。拠点があれば、観光客も誘致できる。無駄ととるか、将来への布石ととるかは、判断が分かれるところだが、少なくとも“かんぽの宿”的な取り上げ方はできまい。このように党首討論は、重要テーマで論戦が交わされ、総選挙の論議を律する意味もあって、かつてなく重要だ。総じて鳩山は相変わらずの“敵失”追及の傾向が強く、責任政党論において麻生の主張に後れをとるだろう。互角だが、あえて点数をつければ、麻生が若干リードだ。
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