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2009-05-09 00:00
(連載)日本のソフト・パワーとしてのサブカルチャー(2)
水野 勝康
特定社会保険労務士
日本の持つ「ソフト・パワー」としてまず挙げられるものは、アニメ・漫画・ゲーム等のサブカルチャーであろう。特に日本アニメ、所謂「ジャパニメーション」は、奥が深く、日本文化を代表する存在になりつつあるとさえ言える。先月、金曜ロードショー枠で「ルパン三世VS名探偵コナン」という番組が放映された。これは、アルセーヌ・ルパンの三代目を称する泥棒を主人公にした漫画「ルパン三世」と謎の組織によって体を小さくされた高校生探偵が数々の難解な事件を解決していくさまを描いた漫画「名探偵コナン」をアニメ化して、「ルパン三世VS名探偵コナン」という一つの作品にコラボレーションしたものであった。
「ルパン三世」はどちらかといえば大人向けのアニメであり、これに対して「名探偵コナン」は子供向けのアニメであると言われている。どのような層をターゲットにコラボレーション作品が作られるのかと思っていたが、番組は対象の異なる両作品を巧みにクロスオーバーさせ、若干大人には物足りないと思うところがあったが、子供も大人もそれなりに楽しめる内容になっていた。更にオリジナル・キャラクターにアイドル声優として人気がある堀江由衣を起用するなど、マニアックな層にも配慮した形跡が伺える。
一般的に、海外ではアニメーションは、原則的に「子供が見るもの」とされている。このコラボレーション作品に代表されるように、様々な年代・趣味層を考慮しながら一本のアニメーションを製作しているのは、日本くらいのものではないか。アニメの先進国であるアメリカでも、代表されるディズニーのアニメは「夢と魔法の世界」を描き、基本的に子供向けである。そうした中で、ミステリーや大人の恋愛などを描いている日本のアニメは、珍しい存在と言えるのではなかろうか。
また、声優は多くの国では職人仕事とされていて、韓国などでははっきり労働者の扱いを受けているが、日本では必ずしもそうではない。どちらかといえば、アーチストの部類に入れられている。このため、一部はアイドル声優とされて、先に挙げた堀江由衣はなかなか美形である。アニメ(2次元)と本人(3次元)を両方楽しめるので、これを2.5次元という。この方は「永遠の17歳」を自称しており、自分のファンクラブ・イベントで江戸川コナンならぬ「江戸川ホナン」に扮して寸劇をやっていたから、コラボレーション作品に出演できて、さぞ満足だったのではなかろうか。それはともかく、表現規制の厳しい一部の独裁国家を除けば、日本のアニメーションは概ね好感を持って受け入れられていると言える。(つづく)
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