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2009-04-28 00:00
(連載)これでは若手研究者の海外放逐だ(2)
水野 勝康
特定社会保険労務士
100人の博士が誕生した場合、大学教員になれるのは僅か14人である。ポスト・ドクターと呼ばれる任期制の研究者になれるのは100人のうち20人で、両者を合計しても博士号取得者の過半数に達しない。同じく100人の博士のうち、16人が「無職」であり、「行方不明」か「死亡」が8人もいる。大学以外の場に行けばよいではないかという意見もある。しかし、若手研究者や大学院生が大学以外の場所に職を求めるのは、厳しいというのが現状である。日本企業は大学院修了者の採用に消極的であるのが普通だからだ。
つまり、日本に戻って来たいと思っても、日本では今でも若手研究者や大学院生は「飽和状態」にある。余程の業績を上げなければ、研究者としての常勤ポストに就くのは難しい。そもそも、日本の大学教員採用は、不明瞭な点が少なくなく、業績以上に研究者同士の繋がりが重視されるケースも多い。純粋に公募で決まるのは、むしろ少数派と言われている。海外に出ることは、日本での繋がりが薄まることになり、日本に残った研究者よりも不利になる可能性が高い。そうすると、結局のところ帰国後は「高学歴フリーター」「高学歴ニート」が誕生することになるのではなかろうか。
「高学歴フリーター」「高学歴ニート」になることを回避しようとすると、一つの方法としては、海外の大学や研究機関に職を求めるという手がある。しかし、これでは日本の頭脳が海外に流出することになる。国が税金を使って頭脳流出させるのでは、税金の無駄遣いと言われるであろう。国は政策として「大学院重点化」を推し進め、研究者と大学院生は激増した。一方で、その激増に見合う大学や研究機関の常勤ポストは、むしろ減少傾向にある。結局のところ、国内にポストをきちんと作り、若手研究者のキャリアを考えなければ、新たな政策と銘打っても、また武者修行などと言っても、修行の先は、仕官ではなく、「浪人」となり、若手研究者の「海外放逐」という結果に終わるのではないかと思われる。(おわり)
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