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2009-04-27 00:00
(連載)これでは若手研究者の海外放逐だ(1)
水野 勝康
特定社会保険労務士
政府が、若手研究者の海外での武者修行を支援すると言い出した。5年間で1万5000~3万人の若手研究者や大学院生に渡航費と滞在費を支給し、海外の大学や研究機関へ数か月から1年程度、派遣する構想で、300億円の基金創設を、2009年度補正予算案に盛り込むそうである。若手研究者が外国の大学や研究機関で武者修行する。このこと自体は悪いことではない。古くは野口英世など、海外で業績を上げた日本人研究者は少なくない。日本の大学は多かれ少なかれ封建的なところであり、自由な研究はできないことのほうがむしろ普通とも言われている。アカデミック・ハラスメントが問題になっている時代に、未だに強引に学生の研究テーマを一方的に決めてしまう教授も少なからず存在しているくらいだ。
特に、医学系や理系となると、未だに「白い巨塔」の世界が普通であると言われている。教室の手伝いや教授の補助など雑事に追われ、なかなか自分の研究ができないという話も聞く。そうした環境にいると、人間はどうしても視野が狭くなる。外国、特に欧米の大学にはこうした封建的体質がないから、自由に研究できるというメリットがある。若手研究者が個人の業績を上げるためには、海外で研究できる機会を与えることは有効であろう。
また、若手研究者の質を高め、さらに日本が立ち遅れている分野の専門家を育てるという点でも、海外で学ぶ機会を増やすことは、効果があるものと思われる。だが、若手研究者を海外に出すのはいいとして、その後はどうするのか。最近の日本の大学は、国立も私立も教員の非正規化が進んでいる。また、国際化に対応して、国は「外国人教員の割合を増やせ」というようなことを言っている。つまり、研究者の数に比して、日本人が大学の常勤ポストにつける可能性はかなり低くなっていると言える。かつて、「博士」の学位は大学教員になった後、教育と研究を続けながら取るものであったが、今や「博士」の学位がない者は大学の常勤教員になることは極めて難しくなっている。(つづく)
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